介護業界に飛び込み、介護職として働きたいと思っているのであれば、共感的理解を身につける必要があります。
これは利用者の置かれた状況や生活全体に共感しながら、あたかも自分のことのように寄り添い、お互いが支えあって日常生活を生きていくという姿勢のことです。
ちなみに「社会福祉士及び介護福祉士法」の第2条2項では、介護を必要としている利用者の日常生活において、支障をきたしている部分について介護をして、できるだけ円滑な生活に近づけるように努力することが定められています。
そしてここで言う「日常生活」とは、単なる1日の時間の経過を指すのではなく、利用者一人ひとりの尊厳や個性が保たれた、生活全体のことです。
つまり誰一人として同じものではない、その人らしさを作り出す根源的な部分と言えるでしょう。
介護ではこの根源的な生活を継続させるために、共感的理解が不可欠になるのです。
介護を受ける利用者にとっては、本来であれば他人には見られたくない、知られたくない、触れられたくないといった様々な部分に、日々の生活で介入されることになります。
しかしその一方で、心を許しあえるような信頼できる人から介護されれば、安心して生活を送ることができるはずです。
このことから、少しでもこのような利用者の心理的負担を軽減するために、介護者は着実に信頼関係を構築することが求められます。
そして何よりも、この信頼関係の構築にあたっては、利用者を理解し共感することが重要になるのです。